心臓のこと、不整脈のこと

知っているから安心できる

不整脈の種類

不整脈をタイプごとに表に示しました。不整脈には多くの種類があり、それぞれ症状や発生のしくみが異なります。中には命に関わる危険のあるものもあります。以下で、それぞれについて詳しくご説明します。カテーテルアブレーションの治療対象の不整脈については、「カテーテルアブレーションで治療できる不整脈」のページで紹介しています。

上室性不整脈 心室性不整脈
頻脈性不整脈 ■心房細動
 - 発作性心房細動
 - 持続性心房細動
 - 長期持続性心房細動
■心房粗動
■発作性上室性頻拍
 - 房室結節リエントリー性頻拍
 - 房室回帰性頻拍
 - 心房頻拍
■心室頻拍
■心室細動
徐脈性不整脈 ■洞不全症候群
■房室ブロック
期外収縮 ■上室性期外収縮 ■心室性期外収縮

■心房細動

心房細動 最も罹患率の高い不整脈です。心房の中で不規則に電気興奮が発生し、心房が痙攣したようになります。心房の拍動数は1 分間に300回以上となり、心臓が不規則に拍動することで、動悸を感じることがあります。加齢とともに発生率は高くなり、特に60歳を境に急激に頻度が高まります1)。男性は女性に比べて約1.5倍心房細動を発症しやすいと言われています2)。近年、肺静脈から発生する異常な電気信号が、心房細動の主な引き金になっていることが明らかになりました3)
1)Feinberg WM, et al. 1995 より
2)Framingham 研究(Kannel WB, et al. 1998)より
3)Haïssaguerre M, et al. 1998より

心房細動は、持続する時間によって発作性、持続性、長期持続性に分類されます。発作性心房細動の症状は一時的であるため、自覚症状があっても病院では異常な心電図が記録されにくいという特徴があります。心房細動が起こると、心房は血液を心室へ送り出す役割を果たせなくなってしまいます。心房細動の持続時間は、初めのうちは長くありませんが、治療せずにいると長く続くようになります。心房の中で滞留した血液が凝固して血のかたまり(血栓)になると、この血栓が他の臓器の動脈を塞いで血栓症(脳梗塞などの全身性塞栓)を引き起こすことがあります。心房細動のある人では、脳梗塞の発生リスクが、正常な心拍の人に比べて2~7倍高いことが知られています4)5)6)。また、心臓に負担がかかり続けることから、心房細動は心不全の原因にもなります。
4)Wolf PA, et al. 1991 より、5) Krahn AD, et al. 1995 より、6)Levy S, et al. 1999 より
カテーテルアブレーションの治療対象です

- 発作性心房細動

発症後7日以内に自然に洞調律に復する心房細動です。
カテーテルアブレーションの治療対象です

- 持続性心房細動

発症後7日を超えて持続する心房細動です。
カテーテルアブレーションの治療対象です

- 長期持続性心房細動

発症後1年以上持続する心房細動です。
カテーテルアブレーションの治療対象です

■心房粗動

心房粗動 心房の筋肉が毎分250~350回も規則的に収縮する状態の不整脈です。多くの場合は右心房を円形に電気信号が回り続ける異常な電気回路が原因で発生します。心房の収縮を起こす電気信号のうち、心室に伝えられるのは一部だけですので、実際の脈拍数が毎分250 回になったりするようなことはほとんどありません。
カテーテルアブレーションの治療対象です

■発作性上室性頻拍

突発的に生じる不整脈です。発作性上室性頻拍が生じると、心拍数が140~200回/ 分になり、突然動悸が発生し、重症な場合はめまいや失神が起きることもあります。原因は心室よりも上の心房や房室結節の領域にあり、原因となる部位によって、さらに房室結節リエントリー性頻拍、房室回帰性頻拍、心房頻拍などに分けられます。
カテーテルアブレーションの治療対象です

- 房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)

房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT) 房室結節の近くには電気の伝わる速さが異なる2つの経路が存在することがあり、房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)は、この2つの経路をループ状に興奮が旋回することによって生じる不整脈です。房室結節リエントリー性頻拍が生じると、電気信号が房室結節の近くを回り続けて心房と心室を絶え間なく拍動させてしまうため、頻脈になります。
カテーテルアブレーションの治療対象です

- 房室回帰性頻拍(WPW 症候群)

房室回帰性頻拍(WPW 症候群) 正しい電気信号の通り道(正常伝導路)の他に、心室と心房を逆方向に結ぶ異常な電気信号の通り道(副伝導路)があるために、一度心室へ伝わった電気信号が再び心房へ戻ってきてしまう不整脈です。房室回帰性頻拍が生じると、電気信号が閉じた伝達経路をループして回り続けるために、心臓が絶え間なく拍動し、頻脈性の不整脈となります。
カテーテルアブレーションの治療対象です

- 心房頻拍

心房頻拍 心房内に異常な電気信号を発生する部位が存在することで生じる不整脈です。
カテーテルアブレーションの治療対象です

■心室頻拍

心室は心臓から全身に血液を送り出すはたらきをしているため、長時間にわたってこのポンプ機能が障害されると、命にかかわる危険な状態に陥ります。心室頻拍もそうした危険な不整脈の1 つです。薬の投与や、発作より速い速度で心臓に刺激を与えることで治まることもありますが、電気ショックや心臓マッサージが必要となることもあります。心室頻拍には、原因がはっきりしない特発性心室頻拍と、心筋梗塞や心筋症などの心臓病が原因で起こる心室頻拍があります。
カテーテルアブレーションの治療対象です

- 特発性心室頻拍

特発性心室頻拍 心室内に異常な電気信号を発生する部位が存在することで生じる不整脈です。
カテーテルアブレーションの治療対象です

- 心臓病が原因で起こる心室頻拍

心臓病が原因で起こる心室頻拍 心筋梗塞などで障害を受けた心筋の周囲に、ループ状の異常な電気信号の伝達経路が形成され、電気信号が回り続けて心室を頻回に拍動させてしまうことで生じる不整脈で、心臓病が原因で起こります。形成される異常な電気信号の伝達経路の形状や大きさは、患者さんによって様々です。
カテーテルアブレーションの治療対象です

■心室細動

心房細動が心室で起こっている状態の不整脈です。一度心室細動が起こると、心臓のポンプ機能は停止し、血液の流れが止まります。3~5秒でめまいが起こり、5~15秒で意識を失い、3~5分続くと脳死の状態になるといわれています。心室細動がいったん起こると自然に回復することはほとんどなく、そのまま治療されなければ死亡してしまう可能性が高いので、迅速な対応が必要です。治療のために、除細動器により電気ショックをあたえます。

■洞不全症候群

1分間に50回以下の心拍数が続いたり、洞結節の動きが一時的に止まり電気信号を送ることができなくなったりする不整脈です。洞不全症候群が生じると、息切れや易疲労感を自覚する場合もありますが、重症な場合は失神します。

■房室ブロック

心房から心室への刺激伝導が阻害されている状態の不整脈です。房室ブロックが生じると、心室が心房とは関係なく独自にゆっくりしたリズムで収縮するため、脳や全身に必要な血液が十分に行きわたらなくなり、意識を失う、または生命にかかわるような状態となる場合もあります。

■上室性期外収縮

規則正しい正常な脈の間に、異常な電気信号が突然出現して、心臓が不規則に拍動してしまうものを期外収縮といいます。その中でも、心房を原因として起こる期外収縮を上室性期外収縮といいます。期外収縮自体は、治療を必要とせず特に問題がないことも多いですが、頻発性であったり自覚症状が強いといった場合は治療の対象となります。

■(頻発性)心室性期外収縮

心室で発生する期外収縮を指します。その中でも、1日に3000回以上期外収縮が現れる場合は、頻発性と呼ばれます。心室性期外収縮では、治療が必要ない場合が多いですが、心室頻拍や心室細動に繋がる可能性が高い場合は治療が必要になります。
カテーテルアブレーションの治療対象です