カテーテルアブレーションの歴史
カテーテルアブレーションという治療法が登場するまで、不整脈の非薬物治療では、外科的手術により直接心臓の異常な部分を治療していました。しかし、胸を開き、人工心肺を用いて心臓を一時的に止めるという大手術になるため、患者さんの受ける身体的負担はとても大きなものでした。そこで、胸を切らなくても良い、カテーテルアブレーションが開発されたのです。
カテーテルアブレーションは、1982年にアメリカで初めて臨床応用されました。日本でも1994年から保険適応となり、その後は急速に普及が進みました。現在では、国内で年間11万例以上のカテーテルアブレーションが行われています。※
カテーテルアブレーションに用いられる機器も、時代とともに改良が重ねられてきました。近年では、心臓の電位情報(心内心電図)やカテーテルの位置情報をリアルタイムに表示する3Dマッピング装置や、カテーテル先端に冷却材を注入して組織を凍結させる冷凍アブレーションカテーテル、カテーテル電極に瞬間的な高電圧をかけて組織を働かなくさせるパルスフィールドアブレーションカテーテルなどが登場し、治療の安全性と有効性の向上に貢献しています。
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